スイチャンネル流「ゴミ拾いの流儀」について

どうもあっきーです!

今回は2021年1月14日〜1月17日の間、オンラインダイビングエキスポ(Online Diving Expo)というものが全3日間開催されました。

その中で最終日17日に、YouTubeにて「スイチャンネル」というチャンネル名で活躍されている方の日本のゴミとゴミ拾いについての講演があったので紹介します。

チャンネルも主にゴミ拾いをメインにしていて、エギのゴミを拾う動画は再生回数が100万近く再生されています。

スイチャンネル公式YouTube

スーパーやコンビニのレジ袋が有料化して久しい昨今、どんどん環境に対する配慮が求められている現代で、ダイバーとしてスイさんなりのゴミの向き合い方、そして僕らレジャーダイバーはどんな気持ちでどう対応したら良いかを教えていただき、ここにまとめてみたのでぜひ一読していただければ参考になるかと思います。

 

海中で拾った色々なゴミについて

スイさんは主に九州から台湾にかけての海をメインに活動していますが、その中で拾った面白いゴミ、レアなゴミについて紹介してもらいました。

エギについて

後によく出てくるエギ(餌木)とはルアーフィッシングの一種で主にイカ全般を釣るための釣具のこと。

出典 Wikipedia

ペットボトル・缶コーヒー

大陸から来たゴミにあまり見かけない珍しいペットボトルなどが落ちているそうです。

そして毎月同じ場所にゴミを拾いに行くといつも同じ缶コーヒーが捨ててあるそうで、スイさんいわくその付近でいつも釣りをしているジジイが怪しいと言っていました(笑)

現行犯で見つけて注意すれば捨てなくなるんでしょうか・・・

エギ付きの下着

男性物のトランクスにエギがくっついて流れずにその場にとどまっていたりします。

僕は今まで潜っていて下着の様なものは見たことはないですね。

芋づる式のエギ

水底のロープを引っ張ると、大量に絡みついたエギが芋づる式に出てきました。

エギの構造上ロープに絡みやすく、どんどん根掛かりしてしまうという良くあることだそうです。

廃盤になったお菓子の袋

たいていのゴミは波に揺られて削られ文字などはかすれたり跡形も無く散り散りになってしまうものですが、中にはかなり昔の物が綺麗な状態で見つかることがあるそうで、そうしたものを発見した時はテンションが上がるそうです。

閉園したアトラクションのゴミ

90年代に製造されていたお菓子

実際海のゴミの8割は陸からのものであることはプラごみ問題の記事で言いましたが、スイさん曰く、これだけ綺麗な状態で残っているのは山の地中で埋まっていたものが洪水の影響で海に流れ込んだためだということです。

以上の様なものを月に1〜2度拾いに行っているそうです。

これだけでもすごいゴミの量

 

ゴミ拾いをしていて楽しい瞬間

ゴミを拾っているとおまけがついてくることがあるようです。

魚が寄ってくる!

ヒメジ、ベラ、カワハギ、マダイなどが寄ってきます。

理由は海中のゴミの中はすでにいろんな生物の住処になっていることが多く、それを拾うことで巻き上がって、距離感があった生物が近づきやすくなります。

レアな生物を見つけやすい!

ダイビングとは違った視点を持つことで普段見ることができない生物を見つけたりすることがあります。

例えばスイさんは「ヒゲハギ」というレアなカワハギをゴミの中で見つけたそうです。

その他にもエビカニの仲間など溜まり場を住処にしている生物はゴミを動かした時に動くのでそうした意味で見つけやすくなります。

 

サンゴとエギと漁具ゴミの組み合わせは最悪である

日本には本州から沖縄までエダサンゴが群生しており、釣り人たちの間では、イカが釣れるポイントであることは知っているが、そこに珊瑚があることまでは知らないといったケースが多いらしく、それによってエギがサンゴに根掛かりしてしまう現状があります。

中央手前に1つ、奥に1つエギが絡まっています

漁師が伊勢海老などを採るときに使う「刺し網」というものにも最近では必ずと言っていいほどエギが絡まっているそうです。

刺し網に絡まるエギ

ロープを海底に固定してそこにエギが転がるようにして絡まり始め、そこからどんどん他の物も巻き込んでいき、多い時は1つの網に10〜20個ほども絡まるそうです。

こうなったときにサンゴに絡むと、シケの時に高確率で珊瑚を折ってしまっているというわけです。

これらは拾うこと自体は可能ですが、普段のレジャーダイビングでは大きすぎて無理なので、水中でまとめて後から引き上げると言った方法で回収しているそうです。

 

スイさんおすすめゴミ拾い便利グッズ

実際にスイさんがゴミ拾いで使っていて、便利なアイテムが2つあって持っていくと良いと言っていたものを紹介します。

ジップロック

エギのロープがほどけてしまうとまた絡まってしまうので、こうしてジップロックにまとめて入れることでばらけなくなります。

また、針はBCやドライスーツを破く恐れや、怪我をする危険もあるので安全面でも効果的です。

 

ステンレス製のハサミ

さっきのジップロックに加えて、ハサミを持って行ったほうがいいとスイさんは言います。

まず値段が安くどこでも手に入りやすく、大概のものはハサミで切れてしまうそうです。

素材はステンレス製を選べば海水でも錆びず使えます。

18センチサイズのハサミがダイソーなどの100均でも売られているのでお手軽です。

「ナイフはどうか?」という質問もありましたがダイバー用のナイフは欠点があり、糸やラインなどを切りにくく、ハサミの方が簡単です。

「ハサミはゴミ拾い最強グッズ」と絶賛しています。

海中ゴミ箱

縦1m、横30㎝くらいの箱

これはダイビングポイントやショップにあるといいなという特別な例ですが、箱のような物が元は誰かが捨てたもので思って帰るにも重いし遠い。

どうしらいいか考えたところ、これをゴミ箱がわりにして一緒に潜る人にはここに拾ったゴミをどんどん入れてってもらうことにしたそうです。

深さが結構あるらしく、1ヶ月くらいはバラけず残っているので、後日大きい袋を持ってきてまとめて捨てているそうです。

ここから着想を得て、ゴミがよく落ちてるエリアなどにこのような海中ゴミ箱を設置してベテランのインストラクターやガイドが回収するといった流れができればゴミ拾いがもっとやりやすくなるのではないかとスイさんは言います。

 

ゴミ拾いに固執しない4つの理由

ここまで紹介してきて「スイさんは来る日もくる日もゴミを拾い続けている」と思いますが、彼自身「ゴミは毎回拾わなくても良い」と提言しています。

ゴミを拾う日は決めた日だけ、ゴミを見つけてもあえて拾わない日もあるそうです。

その理由は4つあります。

1.邪魔

シンプルにダイビング中にゴミを持って何かをする(カメラの撮影など)ことは、エギであれば機材に絡む恐れもあって拾わない方がいい場合があります。

2.飽きる

こちらもシンプルにダイビング中ずっとゴミ拾いをすることは飽きるので拾わない気持ちも持つことが大切です。

3.義務感に駆られる

ひとつゴミを拾うと次見つけたゴミも拾わないといけないと思ってしまい、拾わないと悪いことしてないのに罪悪感を感じてしまうことが良くありません。

そもそもレジャーダイバーはお金を払って自分が楽しむためにダイビングをしていることが前提なので、あまり熱心にならずあえてゴミを見逃すことで次にたまに拾う余裕ができる心構えが大切です。

4.際限なく沸くゴミに悲しみと怒りを覚える

真面目にゴミ拾い続けていると一向に無くならないゴミに対して負の感情を抱きがちになります。

これだけゴミを拾い続けているスイさんでさえ「何回も何回も拾っているのになんで無くならないんだ!」と怒りと虚しさを感じるそうです。

環境を良くしたい気持ちを持ちつつ、ゴミが減らないことも、人間が生きている以上無くならないことを受け入れなければならない部分でもあります。

 

最後に

ゴミ拾いに関する心構えいかがでしたか?

僕自身も雑誌や書籍など環境を守るためにという名目の記事をよく見かけるようになり、どこか「自分は何もしていないけどいいのだろうか…」と思っていたところでもありました。

でも今回の話を聞いていて笑いながら喋るスイさんは本当にやりたいからやっているという心情が伝わってきて楽しかったです。

拾いたいときに拾う。僕もそのスタンスであまり深く考えないでこれからもダイビングを続けていこうと思います。

それでは楽しいダイビングライフを!

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