どうも。あっきーです!
今回はエンリッチド・エアーについてです。
エンリッチド・エアーについては以前に軽く触れた程度なのでこの記事ではさらに深く解説していこうかと思います。
少し小難しい話になると思いますが、この記事を読むことによってスクーバダイビングにおける空気と酸素の関係や、酸素の重要性や危険性について理解できるようになると思います。
Enriched Air(エンリッチド・エア)を使う目的は?
1990年代初頭からレクリエーション・ダイビングに用いられてから現在まで何の問題もなく使用されている方法で、酸素の割合が21%より多くなっているもののことを指します。
目的は酸素を増やすというよりは窒素の割合を減らすという点です。
通常の空気は約79%の窒素と、21%の酸素でできている混合ガスと呼ばれています。
メリット
- 減圧不要限界が延長される
- 空気の場合での減圧不要限界ギリギリでも、まだ限界内でいられる
- 反復ダイビングでの窒素吸収負荷が少なくなる
酸素組織が多ければそれだけ呼吸する窒素は少なくなります。空気と比べると吸収する窒素の量が少なくなるので、減圧不要限界が延長されるのです。
また限度内であれば酸素は身体から代謝し、それ以外の酸素は吸収されます。減圧症の原因であるダイビング後の気泡形成にはなりません。
充填された酸素濃度によりますが、深度18mでのダイビングでは空気の場合56分のところ、32%の酸素濃度のエンリッチド・エアでは95分へと延長されます。
さらに、深度22mでのダイビングでは空気の場合37分のところ、60分と約倍近くの時間が延長されます。
エンリッチド・エアの安全性
エンリッチド・エアは確かに減圧不要限界を延長することができますが、減圧障害にかかってしまう割合は普段我々が趣味として行うレクリエーションダイビングにおいてはすでに低いので、空気からエンリッチド・エアに替えたとしても大きく罹患率を下げるとは考えにくいことです。
エンリッチド・エアと窒素酔い
窒素酔いは例えとしてお酒に酔ったような状態になり正常な判断ができなくなったりする症状ですが、かつては窒素を吸う量が少なければ窒素酔いにならないと思われていました。
しかし、研究によって酸素が窒素と同じくらいの麻酔作用があることがわかりました。
なのでディープダイビングなど窒素酔いが表れやすい場面では、エンリッチド・エアでも空気と同じ条件であると考えて計画するようにしましょう。
酸素中毒
エンリッチド・エアによる引き起こす重要な問題は中枢神経系(CNS)酸素中毒です。
これは酸素割合と潜水深度との関係から割り出される酸素分圧の限界を超えてダイビングを行なっていた場合です。
中枢神経系(CNS)の症状はほとんどの場合突然現れ、痙攣(ケイレン)を起こします。
兆候が現れた場合は以下の症状がみられます。
- 視覚狭窄などの視覚障害
- 耳鳴り
- 吐き気
- 筋肉のひきつり
- イライラ、落ち着きがない
- めまい
対処と予防
兆候に似た症状を感じた場合は、すぐに浮上しダイビングを中止してください。いつものダイビング同様、浮上は通常の安全な速度で行ない、急速な浮上はNGです。
予防としては
- 激しい運動を避ける
- 処方薬を飲んでいる場合はダイビングに詳しい医師に相談する
- 適正な浮力コントロールで最大深度に注意する
- 十分な余裕を持ったダイビング計画を立てる
まとめ
- エンリッチド・エアとは21%を超える酸素を含む酸素と窒素の混合体ガス
- エンリッチド・エアを使う目的はより長く潜るため
- エンリッチド・エアは空気に比べ減圧不要限界を延長できる
- エンリッチド・エアを使っていても窒素酔いになる可能性は空気と同じにある
- 酸素での危険を考慮すると空気に比べエンリッチド・エアが安全だとは一概に言い切れない
最後に
エンリッチド・エア参考になったでしょうか?
後半ちょっと怖い話になりましたが、普通の無理をしないダイビングならばほぼ起こらないと思うのでこんなことがあるのかと頭に入れておく程度でいいかと思います。
また窒素を取り込みやすい体質の人、1日に多く潜る予定の人などはエンリッチド・エアに替えることで空気と比べ残留窒素が少ないことがよくわかると思います。また減圧症の因子を減らすことにもつながります。
サービスにエンリッチド・エアがある場合は一度体感してみてはどうでしょう?
それでは楽しいダイビングライフを!